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中小企業が求人広告を出す前にやっておくべきこと

人を採用しようと思った時、なんとなく求人媒体を選定し、なんとなく面接をし、なんとなく採用してしまう、このような経験をお持ちの経営者や担当者もいると思います。

 

しかしなんとなくその場の勢いや行き当たりばったりのやり方で採用活動してもうまくいかないことの方が多いのではないでしょうか。

 

この記事では中小企業が人を採用するとき具体的な手順を踏んで根拠立てて採用ができるよう採用の仕組みを体系的に整理したやり方をご紹介します。

 

自社だけの採用システムを作る

一般的に「システム」とは多くの物事や一連の働きを秩序立てた全体的なまとまり、体系のことを言います。つまり採用システムとは企業が人を採用するときの手順や行動を明確にしたものです。自社に採用のシステムがあれば手順にのっとり行動して行くだけでしっかりした採用行うことができます。

 

しかし中小企業では採用に関する手順や行動が具体的に示されている会社は少なく経営者や担当者の勘と経験で行ったりその時その時で違う手順や行動になったりやり方がはっきりときまっていない場合も多く見られます。

 

なぜ採用システムが必要か

ではなぜ採用のシステムが必要なのでしょうか。昨今、中小企業を取り巻く採用の事情は厳しさを増すばかりです。日本の出生率は右肩下がり、人口減少も歯止めがかからない状態です。若い労働力が減少しているのですからその分人材確保は競争が激しくなっているわけです。

 

そのような状況下では求人を出せば人が採れることはほとんどなく企業が進んで求職者から選ばれるために企業努力を重ねていくことが求められる時代です。

 

同時に採用においてもしっかりとした下準備をしてライバル会社がどのような採用戦略を立てているのか自社においても強みや訴求ポイントしっかりと言語化しておく必要があります。また採用の目的やどのような人物を採用するのかといったことを社内でしっかり議論し求人票に反映させて求職者にアプローチする必要があります。

 

このように採用自体の難易度が上がり複雑化する状況をわかりやすく進めていくためにもあらかじめ手順や行動を明確化しておくことが重要です。

 

具体的な採用システムの概要 7つのポイント

では採用システムは具体的にどのような内容が望ましいのか概要を見て行きたいと思います。

採用システムをもう少し平たく言うと『採用の下準備』とも言えます。

 

この採用における下準備とは建物を建てる時の基礎工事や植物を育てるとき土を耕したり肥料をまいたりするのと同じことです。これらのことを社内で話し合うのは大変ですし時間もかかりますが成果が出る確率は必ず上がりますので是非取り組んで頂きたいです。

 

例えば求人票を書く時に何の準備もせずなんとなく書き上げてしまったという経験はないでしょうか。遠回りであっても準備をしっかりしたとしないでは結果に大きな差が出ます。

 

1.ビジネスニーズの分析

人材獲得を開始する前に、現在のビジネスニーズを分析する必要があります。企業が必要とするスキルや能力、経験を明確に把握し、どのようなポジションが必要であるかを確定させることが重要です。また、求める人物像や求める文化も明確にする必要があります。

 

ビジネスニーズの分析は、現在の業務状況や将来的なビジネス目標に基づいて行われる必要があります。これによって、必要とする人材像がより明確になり、人材獲得に向けた計画を立てることができます。

 

2.市場調査の実施

次に、市場調査を実施する必要があります。競合他社がどのようなポジションに人材を採用しているか、どのようなスキルセットが必要であるかなど、情報を収集することが重要です。

 

市場調査には、人材市場や業界のトレンドを調査することが含まれます。これによって、競合他社が求めている人材像や、求職者が求める福利厚生などの情報を把握することができます。これらの情報を元に、より魅力的な求人広告を作成することができます。

 

3.雇用ブランドを構築する

雇用ブランドを構築することで、優秀な人材を引き付けることができます。雇用ブランドとは自社のビジョン、ミッション、文化などを明確にし、それをアピールすることです。そうすることで自社の魅力を高めることができます。雇用ブランドを構築することを難しく感じる場合は『雇用ブランド=自社の強み』と捉えてみましょう。また、社員の声や福利厚生などもアピールポイントとして取り入れることで、優秀な人材が自社に魅力を感じるようになります。

 

4.誰がやっても結果が変わらないよう基準をそろえる

「今日の午後、応募者が面接に来るからやっておいて」中小企業ではよくあるケースですがここで問題なのは社内で面接の基準が統一されていないことです。

 

例えば一次面接などは経営者以外の社員に任せること自体には問題はありません。ただ面接をして貰う上で目的ややり方、進め方、何を聞いてどう判断するかについてはあらかじめ共有しておくことが理想です。

 

ここで有効なのは面接評価表です。下準備で話し合った採用すべき人物像や合否判定の基準を面接評価表に落とし込みこのシートを見ながら進めることで応募者に聞くべき質問をもれなくすることもできますし応募者が答えた事実に基づいて合否の判定をすることができます。また実施後の上司への報告もスムーズに行きやすく誰もが面接の結果と合否判断に納得がいきやすくなります。

 

5.社員に参加を促す

社員に参加を促すことで、人材獲得を成功させることができます。社員に求人募集に関する情報を提供し、紹介してもらうことで、自社に興味を持っている人材を採用することができます。また、社員が自社の魅力をアピールすることで、より多くの人材にアプローチすることができます。

 

6.競合他社を分析する

 

競合他社を分析することで、自社の強みや弱みを把握することができます。競合他社が採用している人材の特徴や、その人材がなぜその会社に入社したのかなどを調べることで、自社がどのような人材を獲得するためにはどうすれば良いのかを把握することができます。また、競合他社の採用戦略や、どのような求人広告を出しているかなども調べることで、自社の採用プロセスを改善することができます。

 

7.求人プロセスを確立させる

求人募集プロセスを確立することで、採用プロセスをスムーズに進めることができます。求人広告の作成や採用担当者の役割分担、面接のスケジュールなどを決定し、具体的なプロセスを確立しておくことが大切です。また、応募者への返信や面接後のフィードバックの方法も決定し、スムーズなコミュニケーションを確保することも必要です。

 

中小企業が採用活動を行う際、よくある失敗例としてはスケジュールが不明確なため応募者から信頼されず辞退に至るというケースです。求人票の掲載開始から入社してもらいたい時期までスケジュールと担当あらかじめ決めておきましょう。

 

このときのポイントが2つあります。

 

一つ目は入社してもらいたい時期から逆算して求人票の掲載時期や、社内で下準備について話し合うスケジュールを決めることです。

 

二つ目は内定を出した後のスケジュールと入社後、どのような育成スケジュールで進めていくかまた育成の担当者を誰にするかです。

 

どちらも大事ですが特に二つ目の育成のケジュールと育成の担当者については中小企業においては盲点になりがちなのでぜひ抑えておきたいポイントです。というのも入社後の三か月というのは新しく来た社員にとってとても不安定な時期になります。新しい環境で頑張りたい気持ちはあるものの本当にこの会社でやっていけるのかどうか不安を抱えています。

 

そのような時期に教育もされずほったらかしの状況では新しい環境に適応できず最悪の場合離職につながってしまいます。ぜひ入社後の育成計画についてもしっかりと話し合って計画をするようにしましょう。

 

まとめ

ここまでのポイントを抑えながら採用のシステムを作っていくわけですが具体的にどう進めていくか最後にお伝えします。

 

できれば社内の何人かを巻き込んで定期的に採用システムの構築についてミーティングを実施することをお勧めします。あまり人数が多すぎてもまとまらないのですがテーマによっては社内の有望な若手社員を巻き込むのとても有効な方法です。

 

そしてミーティングで話し合ったテーマは必ず資料にまとめ具体的に実行し形として残すことができるように役割分担をしながら進めていくことが大切です。

 

これだけのことを確実に実施していただけると中小企業といえども大手企業に負けない自社オリジナルの採用システムが出来上がります。その都度リニューアルをし続ければ永久に使える貴社の財産になりますので是非この機会に取り組んでみてはいかがでしょうか。